【苦しすぎる恋愛漫画】「あなたはブンちゃんの恋」あらすじ・ネタバレと感想 〜おせじなし正直レビュー〜

漫画レビュー

こんにちは、まるです!

最近、宮崎夏次系さんの「あなたはブンちゃんの恋」(全5巻)をイッキ読みして泣きました。

まず最初にこの漫画は、恋愛漫画とは言ってもアオハライドのようなトキメキを与えくれる少女漫画ではありません!

実らない恋と痛いくらい真っ直ぐに向き合って、恋に翻弄される少女を描いた苦しくて切なくて愛おしい作品でした。

あらすじ

さてさっそく、簡単なあらすじを紹介していきます!

主人公のブンちゃん三舟さんが好き。

そして三舟さんはシモジが好き。

ブンちゃん、三舟さん、シモジは幼なじみで一緒に下校するような仲良し3人組でした。

ちなみに三舟さんは女の子です。

ここでは女が女を好きになるとか男が男が好きになるとかは当たり前のことで、恋に性別は関係ないです。

シモジは、とある日に3人で遊びに行ったプールで、不慮の事故により溺れて死んでしまいました。

そして死んでしまったシモジの霊(ちなみに悪霊らしい)が、ブンちゃんのカバンに着けていたクマのパスケースに取り憑きます。

実はこのパスケースは、シモジがブンちゃんと三舟さんにひとつずつあげたものでした。

シモジはクマのパスケースに入って、三舟さんに片想いするブンちゃんをずっと見ていました。

シモジが死んでしまってから、ブンちゃんと三舟さんは毎年シモジの命日に約束の広場で落ち合い、一緒に過ごします。

ブンちゃんは悪い言い方をすると、シモジが死んでくれたおかげで毎年三舟さんに会えるのでした。

三船さんがどうしても好きなブンちゃん、でも、その三舟さんはシモジが好き。

三舟さんとブンちゃんは二人で会っているようで、二人の間にはいつもシモジがいて、ブンちゃんは三舟さんと二人きりになることなんてできません。

シモジからもらったクマのパスケースだって、三舟さんはうっかりなくしてしまったから、ブンちゃんはずっとつけてくれてありがとうって、三舟さんに感謝されるためにつけているようなものなのです。

クマのパスケースになったシモジの目に、報わないブンちゃんが映ります。

結末(以下、ネタバレ)

これ実はシモジはずっとブンちゃんのことが好きだったんです。

見事な三角関係。

シモジはクマのパスケースをお揃いでブンちゃんと三舟さんにあげた時、ブンちゃんのパスケースにだけ自分の気持ちをつづった手紙を入れてしました。 

けどその手紙って、ちゃんと読まれていたのかな?

ちゃんと口で伝えていないのに、気持ちをわかって欲しいだなんて傲慢じゃない?

シモジはブンちゃんにちゃんと好きだと伝えられていなかった未練から、悪霊となりブンちゃんパスケースのクマに取り憑いてブンちゃんの報われない恋を見ていた訳です。

三舟さんから一通の連絡が来ただけで舞い上がるほど喜んで、ボロボロだった心と体が大回復しちゃうようなブンちゃん。

それでも現実というものは残酷で、やっと会えた三舟さんは爆走ニンニク豆腐という変な男を好きになっていたり。


ブンちゃんは三舟さんを諦めるために、忘れるために、好きじゃない人と無理やり付き合おうとしたり、坊主にして寺に入ろうとしたり
必死になりましたがどれも失敗に終わり、どんどんボロボロになっていきます。

なかなか三舟さんからは逃れられないようです。


一方でシモジは霊感があった爆走ニンニク豆腐さんに憑依することで、自由に動けるようなります。

体を手に入れたシモジは、変わろうとするブンちゃんと三舟さんが許せなくて、三船さんをトラックの前に突き出してしまいます。

この時咄嗟にブンちゃんが飛び出して三舟さんを突き飛ばして救い、代わりに自分がトラックにはねられて三舟さんについての記憶をなくします。

見事三舟さんのことを忘れられて、新しい彼氏ができて順風満帆かのように思えたブンちゃんですが、常識的人の彼氏は毒親のもと育ったブンちゃんの気持ちを理解してくれず…

真っ直ぐすぎる彼を自分は妬んでいることに気がつき、辛くて泣いていたところで、リビングのテーブルの下にシモジを見つけます。

シモジにとっては、やっとブンちゃんに見てもらえた瞬間でした。

ブンちゃんはジモジのことを思い出し、三舟さんのことは忘れたまま。

初めて、二人の間に三舟さんはいなくて、やっと二人きりになってブンちゃんに見てもらえた。ずっと待ち望んでいた瞬間。

シモジが死んで悲しかったと言い、悪霊の力なのかシモジのことが好きだと勘違いしたブンちゃん。自分はシモジが好きだったことを思い出したから、彼氏にはもう付き合えないと告げます。

シモジは願いが叶ってどんどん悪霊としての力が弱まっていき、やがて成仏します。

その後は成仏したシモジを取り戻そうと暴走するブンちゃん。(まだ自分はシモジが好きだと思っているので)


妹はブンちゃんはボロボロになっているブンちゃんの姿を見て、ブンちゃんがずっと好きだったのは三舟さんだと教えます。

妹に教えられたことがきっかけとなり、ブンちゃんは三舟さんの記憶を取り戻します。


ブンちゃんは三船さんのもとに駆けつけ、ついについに、自分の想いを叫びました。

ブンちゃんの実家の勉強机の、大切なものだけを入れておくための引き出しの中には、シモジからのあの手紙が大切にしまってありました。

最後まで読んでみた感想

この漫画に出てくるキャラクター、みんな片想いなんです。

いろんな恋愛の形がでてくるのに、実る恋がひとつもない。

そしてその恋は終わらない。永久不滅の恋

だから全体的に読んでいて苦しくなる感じがしました。

「人を好きでどうしようもなくなってしまったら、この平和な日常が壊れてしまうから、そうなるくらいなら自分は人を好きになりたくないんだ」

みたいなセリフもあって

とにかくこの作品の中ではみんなが恋が苦しむ様子が書かれていて(最終的なメッセージはこれではないです)

ブンちゃんに彼氏ができてちょっとは幸せな感じになる件もあったけど、とにかくみんなが失恋している悲しい報われない世界という印象(笑)

だけど結論恋が報われない、悲しい、とかそういう単純な話では決してなくて。

ブンちゃんってすごいんですよ。 

好きな人のこと以外は全てどうでもよくなってしまうとかそこら辺はまだ分かるのですが、

三舟さんのドッペルゲンガーがいると分かったらその人を求めてグリーンランドまでポーンと行ってしまったり、三舟さんを忘れるために寺に入ろうとして突然丸坊主になったり、シモジの時ははたまた頭のてっぺんだけ剃るという変な髪型になったり。

最終巻で怪しい数珠を買っちゃったりしてたころはボロボロすぎて流石に見ていて苦しかったけど…

それでも相手に嫌われることが怖くて、自分の気持ちは伝えられなかった。

最後の最後で私は三舟さんが好きなんだ!!!

と、まるで自分のアイデンティティを見つけたかのように生き生きしていた姿がとてもとても眩しかった。

三舟さんはブンちゃんの居場所そのものだったのです。

相手が好きすぎて苦しくなってどうにか諦めようとしたけど諦められなくて…でもそれでいいんだ。この人が好きなのが自分なんだ。そこが自分の居場所になっている。たとえ片想いでも。

ジモジだってそうだった。みんながそうなのかな。

この答えにブンちゃんが辿り着いた時の開放感が凄い!

とてもスカッとする、爽快なラストでした。

よかったね、ブンちゃん。

そして絵がめちゃくちゃ良いこと…!

緻密に書かれている背景とか、真に迫ってる表情とか、玉のように走る書き方とかショックを受けている様子を身体が野菜みたいに横切りカットされることで表したり、とにかく躍動感があり面白い表現で、絵に見入ってしまうコマが多かったです。

キャラクターの表情がすごい良くて、オーバー気味に描かれていることでメリハリが出ていたし、感情がスッと入ってきて、引き込まれる絵でした。

背景(風景)に関しては宮崎夏次系さんの見どころですかね?

今回のブンちゃんはあなたの恋が私にとってはじめての宮崎夏次系作品で、めちゃくちゃにわかと言うか、他の作品はTwitterにアップされているものしか読んだことがないので大口は叩けませんが、かなり細かな絵を描いている印象です。

とにかく宮崎夏次系さんの優しい絵と痛いくらい真っ直ぐなセリフがすごく好きでした。

まる<br>
まる

最後までお読みいただきありがとうございました。

著:宮崎夏次系
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