こんにちは。
映画鑑賞が趣味な私。今回は井上真央さん、永作博美さん主演の「八日目の蝉」を観賞したので率直な感想等々書いていきたいと思います。
八日目の蝉
八日目の蝉は、直木賞作家・角田光代のヒューマンサスペンス小説が原作となっています。
第35回 日本アカデミー賞(2012年)受賞とのことで、有名な映画ですよね。
私はポスターを何度も見たことがあって、ずっと気になっていたものを遂に見ることができました!!
セリフなど覚えている範囲なので少し違うかもしれませんが、あらすじと感想を書いて見ました!
あらすじ
それでは早速あらすじに入っていきましょう!!
ものすごく簡単に述べると、21歳の大学生恵理菜(井上真央)は誘拐犯の希和子(永作博美)を本当の母親だと思って4歳まで育ち、4歳以降は両親の元に戻ったというバックグラウンドを持っているわけなんですが、そんな彼女が記者の女(小池栄子)と共に今まで目を背けてきた自分のルーツというか、過去というか…を、誘拐犯希和子との生活を振り返り探っていくというお話です。
物語は21歳の恵里菜を軸に、過去の回想シーンが織り交ぜられつつ進んで行きます。
21歳恵理菜の心情変化が見所です。
起
まず事件の発端は、恵理菜の父が不倫して、相手の女に妊娠・中絶させたことです。
この不倫相手が希和子でした。
希和子は中絶手術により子宮内が癒着して2度と子供が産めない体になり、さらには罪のない命を殺してしまった罪悪感に苛まれることになります。
恵理奈の父とやがては一緒になれると思っていたのですが、父は結局家庭を選び裏切られ、精神的に追い込まれていました。
そんな中、恵理菜の母が恵理菜を妊娠。この母もなかなか性格が悪い。
妊娠を自慢するかのように希和子宅にまで行き、中絶した希和子のことを冷酷な人だ、「お前なんて空っぽの伽藍堂だ」と罵ります。
恵理菜が生まれた後、希和子はその赤ちゃんをひと目見てみたいと思いました。
今まで中絶した赤ちゃんへの罪悪感や、父に未練があったりしたけれど、その赤ちゃんを見たら全て諦めがつくと思ったからです。
そこで恵理菜の両親が恵理菜を一人家に置いて出かけたところで希和子が窓から家に侵入。
生後間もない赤ちゃんを一人家に置いてくなんてあるのか!?と思いましたが(笑)
希和子が泣いている赤ちゃん恵理菜を抱き上げると、恵理菜は泣き止み希和子に笑いかけます。
それを見た希和子は自分の全てが許されたような気がして…
次の瞬間、恵理菜を抱いたまま家を飛び出し、誘拐していました。
時は21歳恵理菜。夏休み
彼女は4歳で両親の元に連れ戻されましたが、希和子を本物の母だと思っていたために、両親を本物の親として受け入れられず。そもそもいきなり誘拐されいたとか言われても、4歳で状況を理解することなんてできません。結果、その後の親子関係はずっとうまく行きませんでした。
だから両親からの援助を受けず、バイトを詰め込んで一人暮らしをする日々。常に孤独を感じています。
恵理菜には彼氏(劇団ひとり)がいましたが、彼は実は既婚者で、恵理菜とは不倫関係にありました。(恵理菜はそれを知っていて付き合っています。)
そんな恵理菜に一人の女が接近します。
彼女は記者で安藤千草(小池栄子)と名乗り、21年前の誘拐事件のことを記事にしたいと言います。
最初は面倒くさがっていた恵理菜でしたが、同い年の二人は意気投合し、やがて友人のような関係になります。
恵理菜は安藤が聞きたがっていた事件のことをポツポツ口にするようになりますが、特に何も覚えておらず、全ては希和子が悪い、希和子が自分の人生をめちゃくちゃにしたと思っているようです。
承・以下、ネタバレ注意
そんな中、恵理菜の妊娠が発覚。
居酒屋で彼氏にそのことを報告しました。
彼氏の返事は「おろして欲しい」。
いつかは恵里菜と一緒になりたいと思っている、けど今はその時じゃないと言います。
それを聞いた恵理菜は「私のお父さんと同じだね。」と言い残し、店を後にします。
自分の父と同じようにいい加減な彼氏を捨て、自分一人で子供を生み、育てて行くことにしました。
その後実家に帰り両親に妊娠したことを告げます。
もちろん母は産むことを猛反対。父は自分が不倫していた手前、何も言うことができません。
「おろしなさい!」と母は恵理菜に包丁を突き立てます。
すると恵理菜は、「お母さん、あの人に空っぽの伽藍堂だって言ったんでしょう!?私は空っぽになんてなりたくない。あの人みたいに人の子を誘拐なんかしなくて済むように、私は生む」。
それを聞いて母は泣き崩れててこう言います。「どうしたら恵理菜ちゃんに好かれるの…」
母からしたら、最愛の娘がやっと帰ってきたと思ったら、娘は誘拐犯を自分の母親だと思っていて、全然懐いてくれないんです。何なら4歳でやっと戻ってきて対面した時には恐怖でお漏らしまでされてしまいました。
相当苦しかったでしょう。
そんな現実を受け入れられず、たびたび恵理菜の前でヒステリーを起こし、恵理菜に怒りちらしていたけれど、本当は恵理菜に母として愛されたかっただけなのです。
恵理菜は生むと決めたのはいいものの、両親とうまく行かなかった恵理菜は親からの愛を知らず、そんな自分に子供なんて育てられるわけがないことに気がつきました。
そんな恵理菜を見て、安藤が昔、恵理菜と希和子と暮らしていたところに行こうと言い出します。
最初は渋っていた恵理菜でしたが、自分の過去をきちんと知るため、行くことにします。
視点は誘拐当時の希和子に移ります(過去シーン)。
誘拐犯となった希和子は赤ちゃんの恵理菜と共に人目を避けて逃げながら、行先を失っていました。
そこで出会ったのが閉鎖的なホームに住んで自給自足の生活をする新興宗教、エンジェルホームの人たち。
エンジェルホームは希和子が誘拐犯であることを知りながら、二人を匿います。
後からわかるのですが、エンジェルホームの目的は、まだ赤ちゃんだった恵理菜だったようです。赤ちゃんを入会させることで、世間を知らない純正のエンジェルが出来上がるからです。(ものすごく宗教的な話)
そこでは警察に見つかることはないため二人は伸び伸びと暮らします。
あ、言うタイミングを逃してしまいましたが、希和子、めちゃくちゃいい母です。
側から見てたら絶対誘拐犯とさらわれた子だなんて絶対思わないくらい、優しい笑顔を恵理菜に向け、本物の愛情を注いで正真正銘自分の子として育てます。(恵理菜のことは薫と名付け、当たり前ですが恵理菜も両親の元に戻るまでは自分のことを薫だと思い込んでいます。)
実は、安藤はこのエンジェルホームにいた子供の一人で、恵理菜とは仲良しでした。
恵理菜はすっかり安藤のことを忘れていましたが、安藤は覚えていたんです。
しかし、エンジェルホームでの平和な暮らしも長くは続きませんでした。
ちょうど地下鉄サリン事件が起きて、新興宗教は危険だという認識が世間に広まり、エンジェルホームにも警察などの介入が始まりそうだったのです。
それを聞いた希和子は、警察に見つかることを恐れ、エンジェルホームから抜け出すことにしました。
ちょうど抜け出そうとしている時、安藤の母に呼び止められ、ポシェットを渡されました。
後から中を見ると、安藤母の実家の住所が書かれた紙が入っていました。
エンジェルホームを出て、いく宛のない希和子を気にかけてくれたのです。
安藤母の実家は、人目を避けたい二人にぴったりな田舎の島にありました。
希和子は安藤母の実家が営む蕎麦屋で働かせてもらえるようになり、安藤母の両親も恵理菜を孫のように可愛がり、二人はすぐに島での生活に馴染み、再び平穏な日々を手にします。
今までエンジェルホームというとても閉鎖的な場所に篭っていた分、島で希和子は恵理菜をいろんなところに連れていきました。
二人の幸せな様子がひしひし伝わってきます。
21歳の恵理菜は安藤と共にエンジェルホーム、続いてこの島を訪れ、見覚えのある景色に、エンジェルホームでの生活、そこから逃げ出した時のこと、島での温かな生活を少しずつ思い出していくのでした。
希和子の願いは、薫と明日も、その先もずーっと一緒にいれること、ただそれだけだと恵理菜(=薫)に言っていました。
転
恵理菜が4歳になった時、事態がいっぺんする事件が起こります。
希和子と恵理菜が参加した島のお祭りで、何者かによって恵理菜の写真が撮られ、それが勝手にコンクールに応募されて佳作を取り、全国新聞に乗ってしまったのです。
ヤバイ!!この島はもう危険だ!希和子は思いました。
そこで恵理菜を連れて島を出ることにします。
島を出る前に、思い出にと写真館を訪れ写真を撮ってもらいます。
写真を撮っている最中も、希和子は感情が溢れてしまって、泣きながら恵理菜に愛を伝えます。
写真を撮り終わって、船乗りばに向かって歩きます。
この前まで赤ちゃんだった恵理菜はもう活発な女の子に成長して、希和子の手を振り解き、少し先を可愛く走っていきます。
そんな恵理菜の後ろ姿を見て、希和子は「お母さん、もう走れないよ…」と呟きます(涙目)
船乗り場に着くと、そこには警察が先回りして駐在していました。気づいたら前と後ろからとり囲まれていました。あ、終わった…。
「薫、先に乗り場に行っててくれるかな?」
「何で…?お母さん、一緒にいこう」
「お願いだから」
希和子は自分の気持ちをぐっと堪えて、何とかそう言います。
恵理菜も諦めて渋々一人で乗り場に向かいます。
恵理菜が希和子からどんどん離れていきます。
船乗りばについたところで、恵理菜は警察に確保されました。
すぐに希和子も確保されます。
恵理菜は突然のことで訳がわからず、ママー!ママー!と泣き叫びます。
希和子はそんな恵理菜を見て泣きながら、パトカーに連行されていきますが、途中で、
「あの子は!!」
と叫びます。
「まだご飯を食べていないんです….よろしくお願いします。」
結
17年前と同じ、船乗り場で、ここまでを全て思い出した恵理菜。
あの時写真を撮った写真館を訪れます。
店主にあの時の写真がないかと聞くと、現像したものは5年前出所した希和子が取りにきた。今は、コピー?(何だったか忘れました)が手元にあると。
希和子、来てたんだ…
恵理菜はそのコピー?を見せてもらいます。そこには4歳の自分とあの時の希和子が、親子として写っていました。
恵理菜は完全に思い出しました。
自分が希和子から受けた愛を、希和子がどんな風に自分を育ててくれたかを。
そうだ、自分はしっかり愛されていた。
自分も自分の子供に、あの人みたいに色んなところに連れて行ってあげて、たくさん大好きと言って…
そんな風に育てていこう
〜終〜
タイトルの由来
映画の題名「八日目の蝉」は、恵理菜と安藤の会話が由来しています。
始め、彼女たちは「八日目の蝉は可哀想だ」と話します。だって、みんなは7日で死んでしまうのに、8日目まで生きるセミはみんなと違って一人多く生き延びて、一人ぼっちで寂しそうだから。
でも後から、やっぱり8日目の蝉は幸せ者なんじゃないかと思い直します。8日生きたセミは、7日目までの蝉が見ることができなかった景色が見れるから。その景色は、ものすごく綺麗な景色かもしれないから。
この場面は恵理菜の妊娠が発覚したタイミングで、この考えのもと恵理菜は子供を生む決心をしたのではないでしょうか。
また八日目の蝉は、みんなと違う生い立ちをした、孤独な恵理菜に重なります。
感想
事件の元凶は全て父の不倫だけど…ストーリーが進む中で登場人物一人一人のいろんな顔が見れて、案外誰が悪いとも言えなくなってくるから困ります。
希和子は恵理菜の心に一生の傷を負わせた点で絶対許されないことをしたけど、最終的に母になる恵理菜を救ったのもある意味希和子です。
誘拐後の希和子のシーンに移るまでは、単純に犯罪という点から希和子が悪者に見えますが、希和子の恵理菜に対する愛情をずっと見せ付けられるので、どんどん希和子に同情してしまいます。最終的には逮捕されるという結末がわかっていても、後半ずっと希和子を応援してしまうので辛い。
新聞に恵理菜の写真が載った時点で、ついに時が来た感がすごくて辛くなります。
希和子、ずっと泣いてるし。
舟乗り場で二人が引き裂かれるシーンは、本当に胸が痛い。
いつかはこの時がくると分かっていたけど…、希和子の観念したような表情が印象的。
希和子が「あの子は…!!」と叫んだ時、「私の子です!!」とか言うのかな〜と思ってたら、恵理菜のご飯の心配だなんて、母親すぎて泣きました。(T . T)
希和子が可哀想すぎて、21歳恵理菜が出所した希和子と会う展開を期待したり…
希和子、報われて欲しい…!!
ヒステリックに恵理菜を怒鳴りつける母とは対称的に描かれるので、ずっと希和子といた方が幸せだったのになーと思いました。
作品中では本物の方の母はあまりいい印象はなくて、でもそんなふうになってしまったのも、誘拐のせいで、、、
別に悪い人ではないので誘拐されていなければ希和子と同じ穏やかな母で、良い母娘関係でいられたので。
だけど恵理菜母も、恵理菜を妊娠した時に希和子を煽るようにお腹を見せに行ったり、触らせたり、自分は旦那に選ばれたと自慢したりしてたんですよね….。中絶したことを罵ったりして。
そうやって悲しみを煽られて無かったら、誘拐は起きてなかったんじゃないかとか、でもまあ旦那の不倫相手は憎いよなとか、考えてしまいます。考え出したらキリがない。
父も不倫した自分が悪いから、負い目を感じて誰ともうまく接せれないけど、恵理菜を気にかけて生活費を渡そうとしたりしてました。(それも「無理して父親づらしなくていいんだよ」と断られてしまいますが…)
あと、4歳の恵理菜(薫)役の子役の演技がすごい刺さる。
希和子に向かって「お母さんとずーっと一緒におる!」って言ったり(方言&子供、めちゃくちゃ可愛い)、ヒステリー母に泣きながら「ごめんなさいごめんなさい」を繰り返すシーンは迫力がありました。
とにかく子役の可愛さ、可哀想さ、悲痛さに振り回されます。
小池栄子演じる安藤は、何だか変人キャラでした。前のめりな感じが不気味というか…。結局そこは重要じゃありませんでしたが。
結末は希望が見えてハッピーエンドかもしれないですが、いろいろメンタルにくる作品です。私は3日くらい尾を引きました。
内容がしっかりあり、重みのある点が、とてもよかったです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます♪
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